先日、仕入れた素材を加工して備品にしたい時の振替方法についての記事を書いたあとにふと思ったことがあります。
あれ? 年末に棚卸しするんだよな…
当たり前といえば当たり前なのですが、すっかり忘れていたので怯えながら準備を進め始めたことについてお話したいと思います。
この記事の内容
棚卸し必須の三分法記帳
私は三分法を使って帳簿付けています。
普段は『今月の仕入れと売上はこれくらい』と管理していき、あとでまとめて1年分の仕入れ額から残っている材料分の金額を引いて『1年分の材料費はこれ、残りの仕入れ分は翌年の資産です』と計算するスタイルのことです。
おそらく多くの小さな個人事業主さんが使っている記帳方法だと思います。
分記法だと『Aの売上はこれ、材料費はこれ』というように売上ごとに材料費を計算していきます。取引数が多いととても大変なので取り入れている人はあまりいないかも知れませんね。
さて、そんな1回の原価計算でとっても楽ちんな三分法ですが、大問題がひとつ。
冒頭にも書いたように棚卸ししないと残っている材料費がわからないんです。
棚卸しって何?
棚卸しというのは、ざっくり言えば事業として抱えている『仕入れたもの』がどうなっているか把握することです。
まず手元に残っていない材料は原則『売れた』『別の目的で使っている・使った』『紛失・損失』のどれかです。
- 売れた → 売上
- 別の目的で使っている・使った → 振替(消耗品)
- 紛失・損失 → 振替(商品廃棄損)
という風に処理してあるはずなので、比較的カンタン(というか確認は後回しでOK)に確認できます。
棚卸しのメインは仕入れたけど使っていないもの・余っているものがいくら分残っているのかを調べる所。
例
- 1m500円の布が50cm残っている
- 25個入り1,000円のボタンが10個残っている
- 売価1,500円原価500円の商品在庫が1個ある
というようなことを、1年間で仕入れた分のすべてでチェックするわけです。当然布1枚パーツ10個というわけにはいきませんから、人によっては大変な数になるかも知れません。
そして最終的には残っている在庫を金額に換算します。
例
- (布)500円×(50cm/1m)=250円
- (ボタン)1,000円×(10個/25個)=400円
- (商品)500円×1個=500円
面倒臭そうなのが既にに目に浮かびますよね。
そして仕入れの金額から棚卸しした金額を引いて材料費を計算する、というわけですね。
例
- (仕入)布500円+ボタン1,000円+商品原価500円=2,000円
- (棚卸)布250円+ボタン400円+商品500円=1,150円
- (仕入)2,000円 -(棚卸)1,150円=(材料費)850円
2,000円分仕入れとして支出が発生しているうち、実際に材料費に計上されるのは850円。残りの1,150円は材料として残っているので資産として翌年に繰り越します。
ちなみにこの金額と帳簿上の金額が合わない場合には、振替を見直したり売上を見直したりして原因を探します。大変ですね。
面倒くさいのは山々ですが、棚卸しをしないと正しい経営状態も把握できませんし、運営が長くなるにつれてどんどんズレが生じてしまいます。
在庫管理も業務のうちですので、怠らずにやりましょう。
棚卸しに必要な情報
棚卸しのやり方はいろいろあるのですが、棚卸しをする上で絶対に前もって知っておくべき情報がひとつだけあります。
それは『この材料はいくらだった』という材料単位の材料費です。
ボタン1セットで○○円、布1メートルで○○円、というような購入した時点での価格情報が欠かせません。
レシートを記帳したら領収書ファイルに貼って、買った布はそのまま収納ボックスへ…なんてざっくり管理していませんか?
胸を張って言えることではありませんが、私はそうしています。最悪な管理です。
↑これを『そうしていました』に変えたいと思います。
棚卸しが必要=期末に残りそうなアイテムです。年内に使い切れる予定の立たないアイテムに関しては以下のポイントを押さえて準備をしていきましょう。
- 材料の仕入れ価格はわかるようにメモする
- 数えやすいものは単価を出しておく
- 定番商品は原価計算しておく
以上3点は棚卸し前の更に前の段階で準備しておくべきです。
布を購入すると店員さん用の単価と長さを記入したメモがついている時がありますが、捨てずに布と一緒に保管すると便利です。
また、『○個1セットで○円』というようなものも1個あたりの金額を出してメモしておくとあとで楽だと思います。
いろいろ偉そうに言っていますが、私はついこの間まで自己管理もできていなかった上に自分の事業の棚卸しは未経験です。
とはいえ、今までの社会経験で棚卸しをしたことは何度もあります。
その際、やはり最初に計算するのは材料の単価と商品の原価でした。ここがずれていると結果に大きく響くため、担当者はそれこそ血眼になって原価にミスが無いかチェックしていたものです。
それだけ材料の単価は基本的情報かつ重要ということですよね。
毎日の細々した業務に加えてとっても大変ですが、棚卸しは材料を購入した時点から始まっていることを忘れないようにしたいなぁ…という戒めの雑記でした。